再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~

「今回のコンセプトはストリートライブです。」
理久のコンサートの打ち合わせが本格的に始まった。
「ストリートライブ?」
数名の関係者が参加する会議。
稜真が思わず関係者に聞き返す。
「ご存じかと思いますが、瀬波は派手なものが好きではありません。ギターひとつあればコンサートもできるという人間です。瀬波は、最後のコンサートもあくまでシンプルに自分の歌を聞いてほしいと思っているようです。」
理久らしいと思いながら麻衣は少し微笑んでしまう。

「瀬波は以前から引退の時期を決めていました。表舞台を瀬波は嫌います。本当はこの業界から引退すると言っていたのですが、このコンサートが終わると、彼は完全にプロデュース業や作詞作曲に専念したいと言っています。音源の発売に関してはまだ未定ですが、発売があったとしても彼はメディアには出ません。」
「噂では聞いていましたが、本当なんですね。」
「はい。惜しいんですけどね。」
麻衣は関係者の顔を見る。

理久がつくりあげたチーム。
その人たちが理久を理解して、協力してくれていることに、理久だからできたチームだなと思うと嬉しくなる。