「わが社の社運がかかってるから、よろしく頼むぞ。」
社長の言葉にも麻衣は上の空だ。

「麻衣?」
話を聞きながらも小声で稜真が麻衣に声をかける。
「どうした?顔色悪いぞ。」
「平気・・・」
麻衣は何とか稜真に返事をする。

「先日のイベントでの二人の活躍をどうやら関係者が見ていたらしくてな。それで指名をされたようなんだ。今日、うちでコンサートを担当すると知った瀬波さんはわざわざ多忙の中、足を運んでくださったらしい。どんな二人か見たかったんだろうな。瀬波さんにとっても、今回の野外コンサートは初めての試みらしいからな。」

社長の言葉に、麻衣は聞き入る。
理久が・・・自分を見つけて、仕事に指名してきたのかと思ってた。