一緒に入浴をしながら、麻衣の足の傷を見て痛そうな顔をする理久。

「大丈夫。もう痛くないよ?理久に看病もしてもらったし。」
麻衣はそう言って、湯船の中理久の手を自分のお腹にもっていく。

「男の子がいい?女の子?」
「俺はどっちでもいい。」
「えー?聞きたい。」
「どっちでもいいよ。だってもう聞いてるだろ?この子。」
お腹に触れながら話をする理久の声が穏やかで麻衣は自分まで幸せな気持ちになる。

「元気に生まれてきてくれたらそれでいい。麻衣も、無事に出産してくれたらってそればっかり思ってる。生まれてくれればなんだってできるけどさ、今は何もできなくて、父ちゃんは不甲斐ないんだから。」
「泣ける」
「え?」
急に泣き出す麻衣に、理久は慌てる。