「理久に出会えて、私は変われた。」
「・・・」
「今、ちゃんと私が夢を見つけて、そのために努力をして、忙しいけど充実した時間を送ることができているのは、目の前で理久が夢を追い続けてくれて、その背中を見せてくれたからだって思ってる。」
「麻衣・・・」
「理久と仕事ができたこともすっごくうれしかった。いつだって私は理久の背中を追ってたけど、すごく遠い存在に感じていて、手の届かない人に感じてたから、近付けたような気がしてうれしかった。」
麻衣は本心を理久に言葉にして伝えるのは初めてに近いと思った。

5年前は怖かった。
離れることが怖くて、理久が夢に向かって進んでしまう、どこか遠くへ行ってしまうことが怖くて言えなかった。

そして、再会してからは自分の想いが理久の邪魔になると思って言えなかった。

でも、再会してからまっすぐ自分の想いを言葉にして伝えてくれている理久に、ちゃんと心からの言葉を返そうと、はじめて口にする決意を固めた。