再会は涙色  ~元カレとの想い溢れる一夜からはじまる物語~

「ここまでで交代しますね。」
看護師が産婦人科の前で理久が押していた車いすのレバーに手をかける。
「検査が終わりましたらお呼びいたしますので、ロビーのソファでお待ちください。」
看護師の言葉に、麻衣はまだぎこちない動きで振り向こうとする。

「いっ・・・」
全身の痛みに麻衣が車いすの上で体を丸めるようにすると、理久が慌てて麻衣の正面にしゃがみ、顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
背中に手をあてようとする理久の手を麻衣がギュッと握る。
「どうした?」
優しく問いかける理久に、麻衣は視線を送る。

「私も同席してもいいでしょうか」
理久は麻衣の言いたいことを感じ取り、看護師に質問をする。
「野川さんの許可があれば、可能ですよ。検査の内容によっては部屋の外に出ていただくこともあるかもしれませんが、先生に相談してみますか?」