目を覚まさない麻衣の隣で、理久は謝り続けた。

あの日もそうだった。

再会した夜。
自分に背を向けて部屋から出ていく麻衣が泣いていることになど、すぐに気づいていた。

自分よりも先に目を覚ましていた麻衣が泣いていることにも。

でも何も言えなかった。
『行くな』と言った言葉が精一杯の言葉だった。

まだ麻衣に何も言う資格がなかったから・・。

涙を隠しながら背を向けて離れていった麻衣。

その背中を見送りながら謝り続けた。