「麻衣」
「ん?」
「強くなれ。」
いろいろな言葉を飲み込んだ稜真が選んだ言葉は・・・
「強くなれ、頑張れ。」
心からのエールだった。

夕日を見つめたまま言う稜真にはわかっている。

稜真に気づかれないように涙を拭う麻衣の気持ちが。


麻衣は強くない。
無理して頑張りすぎて、自分が折れそうな時だって気づかない。
本当は心配だ。
今すぐに理久の所に行って真実を言って、一発殴ってやりたいとも思う。
でも、そんな麻衣が精一杯今強がって前に進もうとしてる。
めばえた命を守ろうとしている。