「篠田、写真撮るよ」

こんな時に、と目を剥きつつも、データに残るなら可愛い私でいたい。
櫛で髪をといて、スマホのインカメで化粧が崩れていないか確認する。

竜胆が構えたスマホに向かって、私が1番可愛く映る表情をして。

撮り終わった写真を見せつつ、彼が開いたのは、SNSの画面で。

「このアカウント、清水にもらったんだよね。
俺の写真載っけたらバズったけど本人じゃないから要らんって」

フォロワーは一万人を超えている。
碌に動かしている気配もないのに、よくこれだけの人数が集まったな、と一周回って感心してしまう。

「篠田はさ、デジタルタトゥーって知ってる?」
「知ってるけど」

「これ載せたら、ここのフォロワーにはもちろん見られるし、拡散されたら多分もっと。
俺たちが思うよりも色んな人に見られるし、ここで面が割れたら新しい彼氏も彼女もお互いにできにくいだろうね」

俺たち目立つし。