小さく開けた窓からまだ少しだけ冬の匂いがする風が吹き込んできて、数ヶ月前より少し伸びた彼の髪を撫ぜる。

ああ、これが造形美なんだろうなと、どうでもいいことを考えた。

「なんで篠田は嫌われてるんだろうね」
「そりゃ人の彼氏盗ったからでしょう」

最初は、多分それだった。

でも、言い訳をすると、そういう関係を迫ってきたのは向こうからだし、彼女がいることも聞いていなかった。

入学当初は可愛い可愛いと持て囃されていたけれど、「私に彼氏をとられた」とある女の子が名乗りを挙げた日から、サーッと波が引くように、周りから誰もいなくなった。

もともと大勢と仲良くするのが苦手だったり、深い繋がりの友達を作ってなかったのが悪かったのかな、と今では少し後悔もある。

私があの子たちにちゃんと気持ちを向けていなかったから、褒め言葉を上辺だけのものとして扱ったから。