いけません、凪様


「どうか私の立場もお考えください」


 凪様が悲しそうな顔をする。
 そして、小さな声でぽつりと


「俺が欲しいのはそんな答えじゃない」

「申し訳ございません」


 気まずくて凪様と顔を合わせられない。

 すると凪様が優しく両手で私の頬を包み、顔を上げさせられる。
 いきなりのことで驚いて固まっていると


「俺は諦めないから」


 そう言って凪様は私から離れ、扉の方に向かう。
 そんな凪様を見ていると、振り返り不思議そうに首を傾け


「どうしたんだ? もしかして、俺とまだ二人でいたいとか思ってたり?」


 後半は私をからかうように言ってきたので、それに少しムッとする。


「そういうわけではありません。あと二十分程しか授業時間がないので、早くお戻りください」

「美波は厳しいな。わかった、戻るよ。さ、行くぞ」


 凪様は笑ってそう言う。

 そして手を繋いでくる。