「親しい人はもちろん、使用人や知らない人だろうと親切にするようにと言われて育ってきた。けど、美波に優しくするのはそれだけじゃない」
そこで凪様は一度言葉を区切り、また真剣な顔をする。
なんだか空気が変わった気がして、自然と背筋が伸びる。
「俺が美波に優しくするのは、美波のことが好きだからだ」
「私も凪様のことをお慕いしております」
凪様は一瞬嬉しそうに笑うが、すぐに悲しそうな顔をする。
「美波が俺のことをそう思ってくれてるのは、俺に仕えてくれてるからだろ? そうじゃないんだ」
凪様が私を見つめる。
なんだか恥ずかしいけど、顔を逸らせないでいると、凪様がまた真剣な表情を浮かべて
「俺が言ってる好きは、恋愛の好きだ」
恋愛の好き?
凪様が私を……?
「冗談ですよね? からかうのも大概にしてください」
そんなはずないと思ってそう言うけど、凪様は真剣な顔つきのまま。
「冗談じゃない。俺は美波のことが好きだ」
そう言って、凪様が近づいてくる。
思わず後ずさってしまう。



