いけません、凪様

 どうしようかと悩んでると、授業の始まりを知らせる鐘がなる。

 私のせいで凪様が授業を受けられないなんてこと許されない。


「凪様、早く教室にお戻りください」

「美波が本当のことを話してくれるまでは戻らない」


 なんて頑固な方なのだろう。
 これは話した方が早いよな。


「わかりました。話します」


 私が折れてそう言うと、凪様はどこか満足そうな顔をしていた。

 そんな凪様を不思議に思いながら、心配をかけないようにできる限り淡々と話す。


「入学当初から、あのような嫌がらせはありました。ですが、友人の助けにより、最近は減ってきています」


 事実だけを淡々と話すと、凪様が怒ったように目をつりあげていた。
 何故そんな顔をするのだろう。


「どうして相談してくれなかったんだ? そんなに俺は信用なかった?」

「いえ、決してそのようなことはございません」


 凪様がおかしな勘違いをするので、慌てて否定する。
 けど、凪様はやはり怒ったまま。


「じゃあ、どうして相談してくれなかったんだ?」

「それは、その……」

「これは命令だ。教えてくれ」


 どう答えたらいいのか悩んでいると、凪様がそんなことを言う。

 命令だと言われたら逆らえないことを知っていて、こんなことを言ってくるなんて、凪様はいつからこんなに性格が悪くなってしまったのか。
 しかも普段は命令なんてしてこないのに、こういう時に限って……。


「私の問題で、凪様にご迷惑をかけるわけにはいかないと思ったからです」


 素直に答えると、凪様は更に目をつりあげる。