輪郭線のボヤけた空き缶に蝿が止まる。
缶の中に羽音が響き渡る。
コツンコツンと中で暴れているのが分かる。
僕はその空き缶を振った。
縦に、横に、振り続けた。
より一層激しく壁に当たっているようだった。
次第に生が見て取れなくなる。
動かなくなったのを確認して蠅を取り出す。
白く漂白されたペーパーの上にそれを置き、
沸かしたてのお湯を注いだ。
"永遠に"を意味する柄のついたお気に入りのマグカップに、
透明な液体が流れ落ちる。
ペーパーの上で蝿が踊っている。
お湯に踊らされている。
半分ほどのとこまで液体が溜まると、
僕はそれを飲み干した。