『今日のお礼がしたいので、何かご馳走させてください』


アヤ君からメッセージが来てから1週間後、私は駅前で彼を待っていた。

ご馳走とは言っても、人に恩を売るなんてめんどくさいから、払ってもらう気はないけど。

でも、連絡をとっていくうちに今まで周りにいないようなタイプの彼に何となく流されていた。

「お待たせ、灯(あかり)ちゃん」

「あ、おはよう」

「待たせてごめん。でも待っててくれてありがとう!」

アヤ君は前回よりカジュアルな服装。レモン色のカーディガンがよく似合っている。

「ううん。そんな待ってないよ」

「迷惑だったかな。でもどうしてもお礼がしたくて」

「大丈夫、行こう」

ひたすら申し訳なさそうにする彼をそのままにしておくことができずに、場所もわからないまま移動を促した。

「そうだね。こっちだよ」