なんて、優登さんが私のことを見てくれてるとは限らないんだけどね。
優登さんは優しい人だ。
不器用だけど、真っ直ぐな人。
きっと、何となくだけど優登さんのそばには誰かが居てくれていると思う。
優登さんを支えてくれる誰かが。
ドライブを続ける。
そして、時刻はもう0時に近付いていた。
0時になれば私の新曲の音源のダウンロード販売が開始される。
そして、私は20歳を迎える。
この日を、この瞬間を俊介と過ごせることに大きな幸せを感じる。
「奈生。」
「うん?」
「デビューライブの前に婚姻届提出してこような。」
「そうだね。」
「随分とあっさりしてるな。こんなにも嬉しいのは俺だけ?」
俊介が私の手を握る。
その手が少し震えていることに気付く。
「俊介?」
「俺、すげぇ嬉しいんだ。好きな人と好きな人の誕生日を祝えて、その上これからも2人で一緒に居る約束を交わせるんだよ?幸せすぎて、泣けてくるんだ。」
俊介の手を握り返す。
おでことおでこをくっつけ合う。
そして目を閉じる。