「ああ、もう!」
気が滅入る。
こんな様子じゃ曲なんか出来そうにもない。
私はタクシーを拾い学校へと向かった。
遥香と専門学校を卒業したかったが、デビューが決まり私は学校を退学した。
だが、今でも先生達の厚意で学校に行けば中に上がらせてもらうことが出来た。
こういう時は遥香に相談しよう。
「はーるか。」
「あ、奈生!」
丁度2限の授業が終わったばかりだったようで、遥香は教材を鞄にしまっていた。
私に気付くと笑顔で手を振ってくれた。
「どうしたの?今日は仕事ないの?」
「さっき事務所行ってきた。で、俊介と言い合いになって出てきた。」
「あはは。また喧嘩?」
「またって…。」
「だって日常茶飯事じゃん。2人が揉めるの。どうせまた音楽絡みでしょ?」
そんなに何度も揉めてないもん。
心の中でふてくされる。
遥香は私の考えてることが分かったのか笑いながら私の頭を撫でる。
私は子供か。
「私今日はもう授業無いから、ご飯でもゆっくり食べに行こ。そこで話は聞いてあげるから。」
「やったー!遥香大好きー!」
「はいはい。」
遥香の私に対する接し方がなんだか少しずつ適当になってきている気がするのは気のせいだろうか。
適当にあしらわれているような気がする。