俺の初恋は本当に終わってしまった。

虚しさが残ったけれど、もう後戻りしようとは思わなかった。

もちろん、割り切れたわけじゃない。

奈生ちゃんへの想いは何一つ消えていないし、今でも恋しいままだ。

ただ、お父さんのやつれた顔と涙を見た時、俺は前に進まないといけないって思った。

相変わらず心は落ち着かないし、奈生ちゃんのことを思い出しては苦しくなるけれど、処方してもらった薬を頼りに我慢した。

4月になった。

俺は大学4年生になった。

学校に行くのは久しぶりだ。

どんな顔をしたらいいのかわからなかった。

奈生ちゃんも休んでた学校に復帰する時こんな気持ちだったんだろうな。

頭の中はやっぱり奈生ちゃんで埋まってしまう。

「ユウ?」

館内を歩いていると後ろから声がした。

振り返ると坂田が泣きそうな顔をして俺を見ていた。

「よっ、久しぶりだな。坂田。」

俺は上手く笑えていただろうか。

いや、笑えていなかったとしてもいいか。

きっと、坂田はすぐ見抜くだろう。

「ユウ、ユウなんだよね?本物?本当に本当に本物?それとも私の幻覚?」

「なんだそれ。本物だよ。本物。」

「ユウ……」