あれからどれくらい時間が経ったのだろう。
なんとか社長室に戻ってきた私は、まったく業務に集中できずPCの前に座っていた。
「はぁ……」
(経理課の人も、デザインチームの人も知ってた。
ということは社内全体に噂が立ってる……ということ……)
もう終わりだ。
絶望しかない。頭の中では『退職願』を出す自分の姿しか想像できない。
社長の耳に入るのも時間の問題だ。
もし私がライバル会社の娘だと知ったら、今まで築き上げた信頼を失うだけではなく、百億パーセント嫌われるに違いない。
(辛いな……藤堂快を本気で慕っているこの気持ちは確かなのに。
純粋な気持ちで一生懸命やって来たのも全部本当なんだけどな)
でも……戯言だと思われて、信じられないだろう。
人生レベルで考えれば、少しの時間そばで仕事ができたのだからいいのかもしれないと、前向きに考えてみる。
(自分で退職……した方がいいのかな)
ネットを立ち上げ検索ワードで『自主退職』を打ち込んでいると、ガチャッと社長室が開く音がした。
振り返ると、会議を終えた社長と華さんが並んで部屋に入ってくる。
「……っ」
とっさに息を潜めノートパソコンを閉じると、彼らの会話が聞こえてきた。
「快、ちゃんと調べた方がいいわ。彼女のこと」

