俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う


助手席から出た私は、鼓動を早くしながら立ち去っていく車を見つめる。

(次もあるんだ。これっていわゆるデートというやつ……なの?)

そんなことを思っていると、背後からカツカツとヒールの音が聞こえてくる。

「芽衣!」

(ん? あっ……⁉)

振り向くと案の定、美晴は号泣しながら私に飛びかかってきた。

「聞いてよ、芽衣! ルイさんに騙された‼ 私のことだけが好きって言ったのに‼」

(えっ……)

美晴はそういうと、肩にかけていたショルダーバックから原稿のゲラを取り出す。
そこには『セレブゴシップ特集』とのタイトルで、ルイさんが美女の腰を抱き、美しいパリの街並みを歩いてる姿が映っていた。よくあるパパラッチの隠し撮りだ。

(うわぁ……)

「校正チェックで回ってきて度肝抜かれた……しかも」

彼女が指さした先に移っていた文字に、私も目を丸くする。

「な、長年のフィアンセ……? フィアンセがいながら美晴に手を出したってこと⁉」

「そうなの‼」

(それはさすがに許せない!)

美晴をたぶらかし傷つけたルイさんに怒りがムクムクと湧き上がってくる。

「美晴! 私がルイさんにガツンと言ってくる!」