俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

自信たっぷりな発言に衝撃を受けてるうちに、空いていた手をギュッと握られる。
そのまま彼は私を引き寄せ、耳元に淡い吐息を吹きかけてきた。

(な、何これ⁉)

背筋に走った不思議な感覚に、一瞬で腰が砕けそうになる。

「芽衣、一緒に来るか?」
「……っ」

艶のある声が鼓膜に響き、思わずギュッと目をつむる。
ちなみに私たちが立っているのは、広々としたエントランスの中央。
運よく誰もいないけれど、いつ誰が来てもおかしくない。

(これってかなりまずい状況だよね⁉ 他の社員に見られないうちに、早くなんとかしないと……)

「社長……分かりましたから離れてください……変な噂が立ちますから」
「はいはい」

社長は面倒くさそうにそう呟き、私から距離を取る。
そんな彼を、私は涙が滲んだ瞳で必死で見つめた。

「で、返事は?」

「あの、お誘いは有難いのですが、今日はあいにく食欲が湧かないので、別日にお願いします」

「食欲がない? 体調でも悪いのか?」

「それは……」