社長は不敵な笑みを私に送ると、長い脚でずんずんと出口に向かっていく。
(ま、またこの人、私を強引に連れ去ろうとしてる……⁉)
そう判断し私はとっさに足に力を入れた。
「ん? どうした?」
「どうした? じゃ、ありません。最近の社長は一体何を考えていらっしゃるのですか?
もう業務は終わっています。これはお仕事ではないので、私は付き合う必要はないと思うのですが」
必死で正論を述べると、社長はわずかに目を開き私をジッと凝視した。
(怒られる? それともまた強引に連れ去られる?)
様子を伺っていると、私の腕を持っていた大きな手が解かれた。
そして彼はそのまま手をポッケに入れ、フッと顔をほころばせる。
「確かにお前の言う通りだな。
これは社長命令でもなんでもない……俺が芽衣に会いたくなっただけだ」

