俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

そして数時間後。
なんとか資料を完成させた私は、重い足取りで十九時三十分を過ぎた頃に会社のエントランスに降りた。

(美晴にお見合いの話相談してみようかな。それに、ルイさんとのあの後のことも知りたいし……)

ぼんやりとしながら歩いていると、ガーッと音を立て、数十メートル先にある自動扉が開く。

「えっ、社長!?」

入って来たのは、見慣れた高身長の男だった。
艶のある黒髪の短髪をいつも以上に綺麗にセットした彼は、紺のスリーピースのスーツ姿で前から歩いてくる。
前髪がかき上げられ、その鋭い眼光にわずかに緊張が走った。

「お疲れ、芽衣」
「お疲れ様です。あれ、会議は終わったはずでは……」

(てっきり南麻布のバーにルイさんといるのかと。もしかして何か忘れ物?)

すると彼は私を見つめ、楽しげにかすかに微笑んだ。

「お前の様子を見に来ただけだ。その様子だと、資料作りは終わったんだよな」

「終わりましたけど……私の様子を?」

(というと……?)

訳が分からず目をぱちくりさせていると、社長は突然私の腕をとりグッと引いてくる。

「暇だから少し付き合え。どうせ今から飯食うんだろ?」