俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

(なんでそんなことを?)

私がそう口にする前に、お母さんは苦しげに言葉を繋ぐ。

『昔からお世話になってる青葉不動産の社長の息子さんが、結婚相手を探されてるの。
実は言ってなかったけど、前に見かけた芽衣のことをずっと気に留めていたらしいのよ。一度会ってみないかしら?』

(それって、お見合いしろってこと?)

お母さんの言う通り、青葉不動産の息子さんと何度かパーティで顔を合わせた記憶がある。
温厚で少しだけ気の弱そうな好青年……確か私よりも三歳くらい上だった。

「もしかして……結城家具の状況も踏まえて、私が結婚したら青葉さんは出資してくれるとでも言ってるの?」

『…………』

お母さんの無言がすべてを物語っていた。
私の状況も今までの全部知っているけれど頼んでくるということは、相当切羽詰まっているんだろう。察して胸が痛くなる。

「分かった……前向きに検討してみるね。お母さんにばっかり負担をかけちゃってごめん」

『ううん、ようやく藤堂さんの秘書の夢も叶ったし、あなたが頑張って仕事してるのは分かってる。
だけどもし結婚願望があるのなら、その選択肢も持っといてほしいな……』

「うん、分かったよ……! じゃあ、仕事がまだ残ってるから切るね」