俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う


【まだ明日の会議の資料が出来ていないので、遠慮させて頂きます。申し訳ございません】

「……送信っと。いや、ウソは言ってない、ウソは……」

社長はあの日以降、なぜか私を呼び捨てにするようになり、距離感がよけいに近くなった。
ひょっとして私に好意があるの……? なんて一瞬は考えたけれど、今まで秘書として散々こき使われてきた思い出しかないので、悪ふざけの一環だと認識し直した。

(それに社長に対して個人的な感情を持ちだしたら、今までクビになった秘書と何も変わらない)

社長が評価してくれているのは『真面目な秘書の私』。だってそれで選ばれたし!
どんなちょっかいにも惑わされず毅然とした態度で挑んでいかねばならない……それは己のため、私を送り出してくれた母のため……。

(自分の信念に猛進する侍のようだ。母上、私はやり遂げます!)

「さーてと、気を引き締めなくちゃ……」

再びパソコンに向かい、資料作成の続きをしようとしていると、ブーブーとプライベート用のスマホが鳴り響いた。

「あれ、噂をしてたらお母さん?」