(パリ……ずっと憧れてるけど、タイミングが合わないまま就職したから、結局行けずじまいなんだよね)
そんなことを思いながら首を横に振ると、藤堂社長はフッと顔をほころばせ、突然私の顎をすくい上げた。
「!? いきなり何……」
「俺がお前を連れて行ってやろうか?」
「え……」
至近距離で射るような熱い瞳を向けられ息を止めかける。
すると、彼の親指が私の唇をゆっくりとなぞり……私の背筋に甘い刺激が駆け抜けた。
「ただし条件つきだけど」
彼の妖艶な声色に、私は大きく息を呑んだ。
(条件ってまさか……)
大太鼓のような心臓の音を聞きまがら身を固めていると、予想外に指が離れていく。
「え……」
ポカーンとしていると、社長は私の唇をなぞっていた親指を舌でなめとった。
「ウソだよ。さっきからずっとチョコついてたぞ」

