俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

ショックを受けている私をよそに、社長は私のディスクに軽く腰を掛ける。

「あー、腹減った。とりあえずチョコ貰うな」

彼はそう言って私の手元にあったボンボンチョコをヒョイッと持っていき、手早く口の中に入れてしまった。

「久しぶりに食べると美味いな」

(うう、最後の一個……)

もぐもぐと口を動かしながら、社長はまだその家具屋の一覧表を見ている。

「……Petit,petite……か、懐かしい。この店、大学の時に何度か行ったことがある。家具は金がなくて買えなかったが」

「えっ、そうなんですか? 社長がお金で困るイメージがないですけど……」

(確か大学卒業したのと同時に起業してるよね……?)

不思議に思い口にすると、社長はフッと思い出したように微笑んだ。

「初めの一、二年は苦学生だったから。
……旅行ついでに寄って、目に焼き付けて楽しんでた。
そうやってこういうブランド家具を日本で作ったら売れるかとか、女性ウケするか仲間と構想するのが楽しくて」

「!」

初めて『藤堂快』の内部に触れた嬉しさに、鼓動が少し早くなる。

(そういう風に思ってたんだ。私とちょっと似てるな)