俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

(全然後ろにいるの気づかなかった!)

彼はしばらく会議に出てたため、なんだか久しぶりに顔を見る。
私は急いで姿勢を正し、隠すようにディスクに散乱したチョコの包み紙をクシャッと握った。

「二十分ほどで完成いたします。少々お待ちいただいても……?」

「これ予算表じゃないな。なんの表だ?」

訝し気に眉を潜め、彼は手に取った資料を凝視する。
不思議に思った私はそれを覗き込み、思わず『あっ』と声を上げた。
ぎこちなくフランス語が書き込まれた、例の表で……。

「今朝、華さんから預かった現地の有名家具店の一覧表です。パリ視察の際に家具調達とパイプ作りを兼ねて訪問させてもらうところをアポを取って探している最中で」

「そんな話知らない」

「えっ」

藤堂社長は難しい顔でそう吐き捨てると、小さく息を吐く。

「把握してないことは絶対に俺に確認しろ。もしこの案が通っていたとしても、華には特別に専属サポートをつけているんだから、そいつに投げればいい話だ」

「はい……申し訳ありません」

(またやってしまった。まさか社長のチェックが入っていなかったとは……)