がらんと静まり返った殺風景な会議室に、私の間抜けな声が響く。
私にそう告げた小太りの前沢部長は、どこか腑に落ちない顔でカリカリとこめかみを掻いた。
「それにしても不思議だな。
確かに結城は優秀だが、いきなり社長が指名してくるなんてよっぽどのことだぞ。
もしかして君たち、昔交際していたことがあるのか?」
「そっ、そんなの、あるわけないじゃないですか。でも……本当になんででしょう⁉」
藤堂快の歴代の個人秘書は、並々ならぬ美人女性で頭脳明晰ぞろい。
私はというと頭はそこそこで、容姿はよくて中の中。意味が分からず、寒気すら感じる。
(とにかく、私藤堂快の近くで働けるんだ! 思いがけず夢が叶ってしまった……!)
ドキドキしながら、会議室を後にする。
ここまでの努力が報われ、信じられないがチャンスを掴んだ。
あとは今まで積み上げてきた経験を、藤堂快の前で爆発させるのみ――。
舞い上がる気持ちを必死で抑え、私は藤堂快に挨拶をするため社長室のドアを叩いた。
「事務課の結城です。藤堂社長、挨拶に参りました」
「……ああ、入ってくれ」

