俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

面接が終わっても興奮が冷めやまず、私はそのままお手洗い場に直行した。
手洗い場の蛇口をひねり、わずかでも体温を冷やそうと手をかざす。

(でも本当にびっくりしたな。藤堂快に会ったのは四年ぶりだ)

今日でたったの三度目の対面。
高い頻度でメディアで彼を見ているので、全然久しぶりという感じではなかった。
けれどやはり目の前に立っていた本人は何もかも、私が頭に描いていたものとは違った。

(めちゃくちゃ遠い存在に感じたな。いつの間にか藤堂快を神化してしまっていたのかもしれない)

彼のもとで働けたら、どれだけいいんだろう。
これまで十分夢を与えてもらったけれど、実際に働けばまた何か大きな変化が私にやってくるに違いないのだ。

(でもさっきの反応、結構悪くなかったよね⁉ なんだか上手くいきそうな気がする……!)

自分の気持ちを引き締めるように、キュッと蛇口をひねって水を止める。

「だいぶ気持ちも落ち着いてきたな。ハンカチ、ハンカチっと」

(ん?)

スカートのポッケに忍ばせていたハンカチを漁るけれど、全然掴めない。

「えっ、私落としちゃったの⁉ いつの間に」