あの職業講演会から一年、私の中で藤堂快は大きな存在になっていた。
直接会ったのはたった一回なのに、やさぐれていた私の生きる希望を与えてくれた大人。
若いのに立ち上げた会社を大成功させ、
女性をときめかせるインテリア雑貨を次々と世に出して……。
一体彼の頭の中はどんなふうになってるのだろう、と思うことがこれまで何度もあった。
「藤堂快は私のこと絶対に覚えてないのに、これだけ考えてるなんてちょっと悔しいな……」
大きくため息を吐きながら、いつものように『Berry.By.KAI』の公式HPを開く。
新作の雑貨に次々と目を通した後、ふとあるリンクに目が留まった。
「……新卒採用募集。事務職……」
誰にも打ち明けたことがなかった『彼の下で働いてみたい』という密かな気持ちがむくむくと胸の中に広がっていく。
この道ならいけるかもしれない。

