おじいちゃんは振り返って快を苦し気に見つめる。
そして……。

「なんだ……お前、そっくりじゃないか」

そう言ったおじいちゃんの鋭い瞳には涙が光っていて、鼓動が跳ね上がった。
隣に立っている快も、固唾を飲んで見つめている。

「お前は、樹の子供だな。……わしはなんで気づかなかったんだろうな」

「父を、知っているのですか」

快が訊ねると、おじいちゃんは笑顔で頷く。

「よく知っているよ。小さい頃からあいつは熱心な奴で……よくわしのところに来て入荷した商品を見たいとせがんできたもんだ。今考えたらだいぶ変った奴だった」

おじいちゃんは思い出すように笑い、涙を浮かべながら快を見る。

「あいつがインテリアデザイナーになった時、わしも無性に嬉しかった。道半ばで死んじまったと聞いた時は……俺が変わってやりたいと思ったくらいだ」

おじいちゃんの言葉に、快がグッと拳を握ったのを感じる。
視線を上げることが怖かった。きっと見たこともない彼の表情を目の当たりにすることになるから。

(快……)

込み上げてくる涙をなんとか耐えていると「ははっ」とおじいちゃんの高笑いが聞こえてくる。

「なんて俺は現金なんだろう。急にお前が愛おしく見えてきた。お前なら、きっと大丈夫だな……樹の子なんだから」

(おじいちゃん……)

私が涙をぬぐい顔を上げたのと同時に、快も顔を上げる。

「はい……僕にすべて任せてください。必ず結城家具をなんとかします」