俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う


おじいちゃんは低い声でそう呟き、快と初対面を果たす。
ハラハラしながら見守っていると、息を整えた快から口を開いた。

「うちの秘書がどうかされましたか。まだ就業中なのですが」
「すっ呆けるのも大概にしろ。うちの孫をよくもたぶらかしてくれたな」

(えっ……)

「それは、どういうことですか」

快が眉をひそめ訊ねてみると、私たちの間に気まずそうな顔でお母さんがやってくる。

「実はさっき、週刊誌の方がうちの会社まできたの。
芽衣と藤堂さんがお付き合いしてることをね……事実確認をとりたいと」

お母さんが快に渡したのは、週刊誌の見開きに見立てたA3の紙だった。
大きく【崩壊直前の結城家具を救うのは、注目実業家か!? イケメン社長の溺愛秘書は結城家具の孫娘だった】と書いてある。
そして数枚写真が掲載されており、パリのエッフェル塔を背景にして私たちがキスしているもの、二人で腕を組んでホテルから出たところ、快の車から出てくるところをとらえていた。

「誰がこんなことを……」
「……っ」

私たちがそれを呆然と見つめていると、バッとおじいちゃんに奪い取られる。

「お前たちを認めるわけにはいかない。藤堂さんよ……今すぐ芽衣をクビにしてくれんか。そして金輪際関わらないで頂きたい」
「それはできません。俺は芽衣を愛しています」
「このっ……」

おじいちゃんと快は一触即発といった感じだ。
再びやじ馬が集まり出して、ザワザワと騒ぎ始めた。

(私たちが付き合ってることみんなにバレたんじゃ……)

焦っていると、おじいちゃんは突然クルッと体を回転させ再び私の腕を引く。

「とにかく、ついてくるんだ! 芽衣‼」
「……っ、おじいちゃん」