俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う


それから私たちは、食事を楽しみながらパリの話を中心に他愛のない話をした。

「仕事のことを忘れようって言っておきながら、さっきからその話ばっかりだな」

社長はそう言って笑ったけど、すごく楽しい。
仕事といえど、私にとってあのパリ視察は社長との初めて共有する幸せな時間だったから。

(骨董市も、サプライズも……あと華さんの件も色々あったけど、社長と仲良くなれていい思い出だな……)

社長はご両親が亡くなっていたこと、そして華さんと遠藤さんの裏切りを話してくれた。
強い姿しか見せてこなかった、彼の悲しい一面。
どれだけ葛藤や辛いことがあったのだろうって胸が痛くなるけど……私からその話題を出すことはない。
また、彼が話したくなったときはちゃんと受け止めてあげたいと思う。

「じゃあそろそろ出るか」

社長の一声に、わずかに肩が震えた。
目の前のテーブルは、すでに片付き真っ白だ。

緊張が走って、ドキドキしながら視線を上げる。
……と、彼はにっこりと明るい笑みで私にこう告げた。

「今さら怯えるな。お前を抱くことは確定事項だ」

「っ……!」

(だとしてもこうもはっきり言い放つ人、いますか……?)