俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う


実家のことを除けば、順調そのものなのだ。

お母さんからはあの電話の後、一度だけメッセージが届いた。
おじいちゃんの体調がよくなったこと、そしてお母さんからお父さんに私の事情をすべて話したこと。お父さんは一応交際に関して理解を示してくれたみたいで。

そのことを今日、さりげなく社長に話してみようかと思う。
結城家具の社長であるお父さんが私たちに理解を示してくれたというのは、とても喜ばしいことだから……。

「着いた……」

十九時三十分、退勤し私は待ち合わせ場所である、高級ホテルの高層階の会員制レストランにやって来た。
名前を伝えると、すでに社長が着席しているというのでウエイトレスさんに案内してもらう。

視界に入った店内は照明が落とされ、窓の外に見える夜景の光と、ライトに照らされたテーブルだけが浮かび上がり、静かで大人な雰囲気だ。
一番奥まったところにある席が見えた瞬間、どきんと鼓動が跳ねる。

「芽衣、お疲れ様」
「社長」

振り向いた彼は、さっき会議室で見た鋭い表情とは打って変わり、柔和な笑顔を浮かべて出迎えてくれた。
席を立ち、私の椅子を引いてくれる。

「今日は仕事を忘れてゆっくりしような」
「はい……!」