俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う


「あなたは、耐えられるかしら……本当にそれだけが、心配よ」

華さんは涙をぬぐいながら、口角を上げる。
強がっているような姿に、ズキンッと胸が痛んだ。

(華さんは私と社長が仲良くしてる姿を見て、相当傷ついてるはずだ……だって結婚を考えるほど、好きだったんだから)

彼女になんと声をかけたらいいのか、分からない。
今まで華さんが一方的な想いを寄せているとばかり思っていたから、今までの勘違いに罪悪感すら覚える。

(体が重い……社長に、どんな顔をして会えばいいの?)

彼が好きと言ってくれたら、私は素直な気持ちで喜べるのだろうか?

(無理だ……)

だって今だってこんなに胸が痛い。
彼が浮気をしている姿なんて想像したくない――でも、疑いが晴れない。
華さんをこれ以上苦しめたくないという気持ちもある。

「芽衣ちゃん、そろそろ行かなくちゃ乗り遅れるわよ」

華さんの声に意識が戻されるけれど、私の足は全く動かなかった。

「先に……行って下さい」