(二人が付き合っていたことは知っていたけど、まさか結婚を約束していたなんて……)
衝撃が大きすぎて、思考が停止する。
呆然とする私を、華さんはまっすぐ見た。
「私……本当に辛くて、快と別れた後会社にいられなくなったの。
フランスに来てようやく心も落ち着いて……でも、快のことを忘れることができなかった。
もう一度一緒にいたいと思ったから、勇気が必要だったけど日本にやって来たの」
「華さん……」
「そんな時、寄り添ってくれたのが翔太よ。翔太はいつも私のそばにいてくれて……」
華さんは言葉の途中で涙をこぼす。
嗚咽を漏らし始めた彼女を見て、私は少しずつ正気に戻ってきた。
(だからあの時、私に言えなかったんだ)
すべて辻褄が合ってしまう。
華さんが必死で社長を振り向かせようとしてること。
そして社長が遠藤さんを見て苦しそうな顔をすること……。
彼にどうしてなのか尋ねても、骨董市で話してくれることはなかった。
(華さんの言っていることが事実なら、社長が二人に対して後ろめたいことをしたから……)

