彼女のその言葉の後に、液体が飛んできた。
一瞬何が起きたか分からなかったが、どうやら華の持っていたアルコールをかけられたらしかった。
顔をぬぐうと、びっくりした客たちと俺を見つめながら泣いている華が見える。
華に視線を奪われていると、彼女はふいに弾かれたように店を出ていく。
遠藤も驚いた様子だったが、後を追っていった。
「さすがに言い過ぎたか」
店員からもらったおしぼりでアルコールをぬぐっていると、ルイは小さくため息をつく。
「いや、あそこまで言った方が諦められるでしょ。芽衣ちゃんも時々いじめられてたし、よかったと思うよ」
「ああ」
(これで終わったんだ……いや、終わっていてほしい)
俺が好きなのは芽衣ただ一人。
芽衣をこれからも傷つけるというのなら、いくら一度は結婚を誓った相手であろうと、パリに戻すことも考えなくてはいけない。
蘇りそうになった華との思い出を消すように、少なくなったシャンパーニュを喉に流し込んだ。

