俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

こうして私たちは骨董市を離れ、夕方にはホテルに戻ってきた。
社長は十九時から会食が入っているため、夢の時間はもうすぐ終わりを迎える。

(雑貨を見て回るのは楽しかった。それに……社長の話も聞けて、やっぱり嬉しかったな)

ホテルのエレベーターに乗っていると、隣に立っていた彼が私に視線を向けた。

「芽衣。明日の夜、お前と一緒に行きたいところがある」
「え……どこですか?」

社長はただ微笑むだけで、何も教えてくれない。
明日はパリ視察最終日。全社員仕事は入れておらず、それぞれ自由行動だ。
この日は私も社長の予定は把握していないし、一人で観光を楽しもうと思っていた。

(レストランで本格的なフランス料理でもとろうかと思ってたけど、いいか……)

「かしこまりました。でも、場所を教えて下さらないと」
「場所は部屋に戻れば分かるよ。十九時に、指定の場所で待ってるから」

社長はただそれだけを言って、部屋の階に到着した私を見送る。

「何が起こるの……?」

(場所は部屋に戻れば分かる? どういうことだろう?)