素直に言葉が出てきて、自分でも内心びっくりする。
きっとこの想いは今に始まったことではなく、ずっと心の中にあったからだろう。
社長は苦しげに瞳を細め、フッと口元を緩めた。
「救ってくれたなんて……芽衣は、いつもおおげさだ」
社長の言葉に、私は大きく息を呑んだ。
(ちゃんと、今までの気持ちを伝えよう……伝えるなら、今しかない)
「……全然、大げさではないんです。この状況で、今回パリ視察に連れて来てくれたのもそうですし、私を信じて入社させてくれたことも……それに、私が自分の実家のブランドに誇りを持てたのも、社長のおかげです」
思いの丈を伝えている最中、社長は何も言わずに私をじっと見つめた。
もうすぐ退社してしまう身だ、恥ずかしさとか遠慮とか言っている場合じゃない。
「『Berry.By.KAI』に出会って、家具がその人にとって幸せをもたらすアイテムだと知ってから、嫌いだった『結城家具』を大切にしたいと思えました……本当に社長には、感謝しています」
「芽衣……」
今まで多くのものを彼からもらった……いくら働いても働いても、それは返せないほど多い。
「だから、もし社長のお役に立てるのならなんだってしたいと思ってます。
話を聞くこともそうです」
もう一度彼の瞳を見てまっすぐ伝える。
社長も私から視線を逸らさずに、深い深い瞳を揺らめかせた。
そして。
「芽衣……言えない」

