俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

(え……)

全く予想してなかった事実に、なんと言葉を返したらいいのか分からない。

(ご両親が亡くなっている?)

「ああ……そういえば、小さい頃、俺もお前みたいにカメラでこの店を撮影した記憶がある。
もう一度この店に来てみたいと思っていたが、場所が分からずにいた」

社長は嬉しそうにそう呟くと、笑顔で私を見る。

「時間をとらせてすまない。じゃあ、行くか」

「は、はい……」

何事もなかったように歩き出した社長に、私は必死でついていく。

(藤堂快の強い姿しか見てこなかったから、まさか……)

信じられない気持ちのまま郵便局で荷物を送り終わり、私たちは昼食を取るために近くのカフェに入った。
歩道に面したテラス席に座り、ぼんやりと人の流れを見つめる。

(何を話したらいいのかな……)

頭の中は彼の生い立ちのことでいっぱいだ。
社長の出方を待っていると、隣からクスッと笑い声が聞こえてきた。

「そういえば思い出した。芽衣のやりたいことの一つに、カフェでイケメンを眺めるってあったっけ」

「へっ⁉」