俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

彼がそう言った場所は、大型家具を主に扱っている店だ。
さすがに手で持って帰れないので遠目から商品たちを見る。

「あ、そうだ。デザインの参考になるでしょうし、撮影しておきますね」

個性的な家具を見て思い立った私は、店主の方に許可を取りスマホで写真を撮っていく。
その間も社長はジッと店を見つめているだけで、特に何をするということもなかった。

(どうしたんだろ……?)

「社長、何か買いたいものでもあったんですか?」

私がそう訊ねると、彼は笑顔で小さく首を横に振った。

「いや、思い出してただけだ。大昔この店に来たことがあったのを」

「! そうだったんですか」

確かに社長は大学生の時に何度も、仲間たちとパリへ行ったことがあったと言っていた。
ということは……きっと華さんと、遠藤さんも一緒だったんだろう。

「じゃあ、ブランドを構想している時にこのお店に来たんですね」

あえて彼らのことは避けそう言ってみると、社長は懐かしむようにふっと目を細めた。

「もっともっと前だな。死んだ両親と一緒に来たんだ」