そうこうしてタクシーで向かった先は、パリで一年中通して開催されている『クリニャンクール蚤の市』。
古美術品からアンティーク家具、インテリア小物、古書など幅広い雑貨を買うことができ、地元の人から観光客まで多くの人が訪れる。
私も前々から観光ブックで知っていて、密かに興味があった場所だ。
今日私たちが探すのはホテルのエントランス部分と、各階のエレベーターホールに飾るアンティーク雑貨。
買い出したものは一旦パリにあるルイさんの経営する会社に送ることになっている。
「ここにいる間は顧客側の立場に立って自由に発言してほしい。俺はホテルの兼ね合いを見て、芽衣が選んだ商品を選別していくから」
「かしこまりました」
社長にそう返事をしつつ、失礼のないようにと気を引き締める。
私たちは隣り合って、まだ人がまばらな市場を歩き出した。
(うう、すでにめちゃくちゃ可愛い……)
まず視界に入ったのは天使がモチーフになっているオブジェ。
とても古いもので汚れているけれど、ゴージャスなフランスらしさも感じる。
私は店の前に立ち、そのオブジェをさっそく手に取った。
「……天使は私物としては扱いにくいモチーフですけど、ホテルの可愛い壁紙の前や、今どきのインテリアと一緒に並べたら可愛いと思います。いい意味で邪魔にならないというか」
勇気を出して発言してみると、社長は感心したように小さく頷いてくれる。
「なるほど。確かにそうだよな」

