俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う


一瞬でその場が静まり返り、みな自然と華さんに視線を向ける。
なぜなら彼女が藤堂社長にゾッコンなのは周知の事実だからだ。

(あの言い方、どう考えても遠藤さんと華さんが付き合ってるような……)

『社長、残念ながら私たち別れてしまったんですよ。またその話は違う日に翔太とゆっくりして頂けますか?』

彼女が笑顔で言い放つと、社長さんは申し訳なさそうに眉を下げた。

『まさか! ああ……そうだったのか。みんなの前で言わせてしまってすまないね……』

(なるほど……華さんは藤堂社長とも昔付き合っていて、フランスでは遠藤さんと恋人だったんだ)

皆が納得したとはいえ、元恋人関係を明かすことになってしまった華さんと遠藤さんが、やっぱり可哀想だ。

帰り道でも、二人からその話題に触れてほしくない雰囲気が出ており、誰も突っ込むことなく宿泊先に戻って来た。

(社長……私から見て華さんに未練はなさそうだけど、二人が付き合ってたって知って何か思うこととかあるのかな)

社長とホテルのエレベーターに乗り込む。
チラリと横目で彼を見ると、鋭い瞳とおもいっきり目が合った。

「⁉」
「さっきからチラチラと……何か聞きたいことでも?」