俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

(えっ……⁉)

「他の奴らは違う仕事をしてもらう。俺と二人だ」

(そ、そうなんだ……)

「それは、もちろんです」

突然の誘いに心臓が跳ねるけど、動揺を悟られないように落ち着いた声で返事をした。

「ありがとな。あとルイの会社との意見もまとまってきたし、それを踏まえて顧客側の見方も知りたい。芽衣がこの三日間で感じたことを詳しく話してほしい」
「かしこまりました」

彼の仕事への熱意に、胸が甘く締めつけられる。

(人使いは荒いけど、仕事に対していつも手を抜かないところは本当に尊敬してる)

車の騒音と、街を包むまばゆい光が一体となって、私の思考を惑わせていく。
混濁していく意識の中で『退職』という単語は離れない。
けれど私は、それを振り切るようにしてそっと目を閉じた。

(今は好きな人とこうやってパリにこれて、すごく幸せだ……神様、少しの時間だけ、何もかも忘れて身を委ねさせて下さい……)