俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

「社長、待ってください!」

先を歩く彼を追いかけようと、ガッとヒールを踏み込んだその時。

ボキッ!

(えっ……)

異様な音とともに、私の体はスローモーションで右側に倒れてゆく。

「わわわ!」
「芽衣!」

驚いた社長が視界に入ったその瞬間、力強く腕を引かれる。
目の前に迫った端正な顔に、ドキーッと心臓を跳ね上げつつ、私の体はなんとか体勢を保った。

(社長のおかげで、助かった……って、思いきりやってしまった……)

右足のヒールが割れている。
目でそれを確認している間も、私が倒れないように社長は腕を持ってくれていた。

「ケガは? 足首やってないか?」
「だ、大丈夫です」
「よかった。とりあえず危ないから両足の靴脱げ」

(確かに、危ない……でも、どうしよう)

私は彼に支えてもらいながら、ヒールをそっと脱ぐ。

「靴を買いに行きたいんですけど、裸足で歩くわけにはいかないしどうしましょう……」

真剣に悩み始めていると、社長は私の腕にかかっていた荷物をそっと引き抜いた。
ついでにたった今脱いだヒールも拾い上げる。

「社長……⁉」
「ホテルまで近いから、俺の背中に乗れ」