改めて弓木くんの口から言われると、恥ずかしい。
顔を真っ赤にさせながら、こくこくと頷くと、弓木くんはいじわるくにやっと口角を上げる。
その表情に、もしかしてタチの悪い冗談だったの、なんて一瞬思ったけれど。
「しねーよ」
「だ、だよね……! わたしなんかが相手じゃ」
「そうじゃなくて」
「え」
弓木くんはわたしの顎先にふれていた指をそっと離す。
その動きは、どこか名残惜しむようだった。
「中瀬が嫌がることはしない」
「……!」
「大切にしたいから。それに、俺がしたいだけの独りよがりなキスなんて、何の意味もねーだろ」
弓木くんの言葉に、なぜだか急にぶわっと目頭があつくなった。
やだ、なんで、こんな急に。
泣きたいわけじゃない、悲しいわけじゃない。
だけど、弓木くんがまっすぐ放ってくれた言葉が思いのほか温かくて、こんなの、はじめてだから。



