弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



背すじをつつつ……となぞられて、ぞわぞわとした感覚が駆け上がってきて、生理的な涙がじわりとにじんで。


揺れる視界の向こうで、弓木くんが堪えきれず眉間にぐ、と力をこめる。




「……っ」




触れ合ったところから伝わってくる体温が、あつい。

火照っているみたいに。




「ゆ、ゆみきく……っ」




本能が危機を感じて、慌てて距離をとろうとするけれど、弓木くんがそれを許してくれなかった。


逃がさない、とでも言うように弓木くんの親指がわたしの耳のうしろにふれて、そのまま顔の輪郭をなぞっていく。




「ふ……っ、ぁ」




くすぐったいというより、これじゃあ、なんだか。

変な気分になっちゃ────……。



弓木くんの指がついに顎先にたどりついて。



顎にふれられたまま至近距離で合う視線に耐えきれず、わたしの方から逸らしたら、ふいに弓木くんがかがむように顔を近づけてくるから、これにはさすがに驚いて息をのむ。




だって、こんなの。

まるでこれからキスするみたいな。

恋人同士、みたいな。