弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「へぁ……っ?」

「中瀬自体が、ご褒美なわけ。わかった?」



またまたご冗談を……なんて、冗談でも言えないくらい、弓木くんが本気の顔をしてたから。


そうだった、とまた思い知らされる。


そうだった、弓木くんって。



「ほんとうに、わたしのことが、好きなの……?」

「いい加減自覚してくれないと、困るんだけど」

「っ、だって……!」




む、と眉を寄せたわたし。

すると弓木くんの指先が、するっとわたしの髪を一束すくった。

そのまま、優しい手つきでするすると髪を梳いていく。




「これでも、我慢してる方だから」

「が、まん?」

「……ほんとうは、もっと」

「もっと……?」




オウム返しして、弓木くんを見上げるわたし。

きょと、と首を傾げると、弓木くんは「1から10まで言わないと、中瀬には伝わんねーよな」と観念したように息をついた。



「もっと触りたくて、仕方ない」



髪をすいた指先が、ふいに背中にふれる。