弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「何って。ご褒美、くれるんじゃねえの?」

「ご、ごほうび……? これが……?」




訳がわからない。


じたばたともがくけれど、なぜか体が弓木くんの足の間にしっかりフィットしていて抜け出せない。


数分間格闘していたけれど、諦めて抵抗をやめた。

膝の上からじとっと弓木くんに視線を送る。




「弓木くんって……もしかしてドMなの……?」

「なんでそうなるんだよ」

「だって、わたし、重いもん。弓木くんの膝、壊死するよ」

「全然重くないけど。むしろちょうどいい」




弓木くんは涼しい顔をしている。

というか、この状況の、どこが。




「どこがご褒美になってるのか、わからないって?」

「心読めるのっ?」

「表情に全部出てんだよ」

「うそ」




慌ててほっぺをぺたぺたと押さえると、弓木くんは軽く笑う。

そして、こつ、と痛くない力でわたしの額を小突いた。




「好きな子に触ってんだから、ご褒美に決まってんだろ」