弓木くんはどうやらわたしが好きらしい



「無理せずに冷ませばいいだろ」

「だ、だって、猫舌とか子どもっぽいって思うくせに……」

「はあ? んなの、かわいいだけだから」

「……! そうやってすぐからかう……っ」




角砂糖みたいにあまいあまい言葉だって。

きっと本気で言っているわけじゃないから、騙されない。



────そうやって気を引きしめていないと、心臓がおかしくなりそうだった。べつに……弓木くんのこと、好きとかじゃ、ないのに。



ほどよく冷めたミルクティーを弓木くんが返してくれる。

念のため、追いふーふーをしてから飲む。



甘ったるいくらいのミルクティーが好き。




「弓木くんは何も飲まなくていいの?」

「今はいい」

「ふうん……。なんだか、わたしばっかりご褒美もらっちゃって、申し訳ないですなあ」



何気なく、そうこぼしたら。

弓木くんの眉がぴくりと上がって。




「じゃあ、ご褒美、くれんの?」

「へ」

「俺に、中瀬から」